「母大樹」の製材の仕組み 

England Bricks① 

早いもので、石津 謙介氏が亡くなってから五年になります。
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石津謙介さんを知らない世代が圧倒的に多くなりましたが、私はのような団塊世代の人間にとっては彼は憧れでした。
1951年メンズアパレル「VAN」の創業者・その「VAN」から送り出されたアイビールックは、1960年代、当時の若者の間に爆発的なブームを呼び、その後の若者のライフスタイルや思想にまで大きな影響を与えたのです。

特に、「ファッションとは衣食住、ライフスタイル全般のことである」との持論に基づく
「TPO」の造語はあまりにも有名です。

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それと、England Bricksとどんな関係があるのかというと、彼のエッセイののなかにこんな文章があるのです。

『本物は何か』ということを時々考えてみる。
思うにそれは、長い時間をかけて洗練されたもの、あるいは今後そうなっていくに違いないであろうという「ある種の完成度」を感じさせてくれるものなのではあるまいか。

私が今から四十年ほど前に、『トラッド』という言葉をこの国に持ち込んだとき、それは熱狂的なブームになり迎えられた。
しかし私は、機会があるごとに訴え続けた。
「これは一時の流行り廃りのものではないのです。アメリカやイギリスでは、何代にもわたって受け継がれてきた伝統のあるものなのです。」と・・・。
ただ単に古いものだから価値があるのではない.
長い時間を経ても尚、その価値が色褪せない事がすごいのだ。
私はその時、そんな事を考えていた。

四十数年前のあの頃、私は英国ビクトリア王朝時代の煉瓦が欲しくてたまらなかった。
八方手を尽くしてみたのだが手に入れることは出来なかった。
悔しい思いをした。
それだけの話であるが、最近その煉瓦を見た。

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久しぶりに本物に出会った高揚を覚え、これこそ『トラッド』だと得心したものである。

一つのものが何世代にもわたって支持され、そして洗練され続ける。
その価値は、衰えるどころか、ますます深美を増して行きながら、生活の血となり肉となる。
それこそが本物の素晴らしさなのだ。




「国産材の安定供給体制」 

国産材の最大の課題であった
「一定品質の商品を安定してお客様に届けること」

この一点に焦点を絞り、KD材生産と物流機能の強化。
KD材生産に特化したKD物流センター
KD材端材の有効活用を目的としたKD加工センター
それぞれ得意な製材品を供給する協力工場
群馬県 県産材加工協同組合への参画。

関東一円に十工場を稼動。供給体制を確立。

「国産材時代の到来」
「地産地消」
「持続可能な循環型社会」


等々理想的な状況を具体的な形にするために進化しています。



「製材業界の常識を破る顧客指向」 

・原木調達

まず材料となる原木の調達――この地域一体は、拡大造林の時期に植えられた木材が豊富にある。当時の造林家の施行管理は非常にきめ細やかで、適度に密植であるため目の詰まった良質の木材が安定して供給できる。

・製材

製材業にとって製材技術は、最も基本となる重要な技術である。そこで国産原木の特徴に応じた専用製材ラインを設置することにより、他社に負けない効率的な製材を実現している。 しかし、生産性の追求にゴールはない。今後の課題は、仕掛品の移動コストをいかに軽減するかであり、生産性を飛躍的に向上させる画期的な仕組みを今後とも継続して追及していく。

・カット

この工程で木材がいかに生かされるかが決まるため、最も基本で重要な工程である。中目材はたった一寸(三センチ)薄く製材しただけでその前にはなかった節が現れる。家の中に見える木材として使うのなら、できるだけ節がないほうがよい。だとしたら、八寸×四寸よりも、八寸×五寸に製材するほうが節の少ない材木が作れる可能性がある。
同社の製材能力は総計14万㎥体制を確立している。これは、国産材専門工場としては日本最大。

・乾燥・加工・性能評価

 寸法精度が高く、収縮や狂いの少ない「かんな加工された乾燥材(KD材)」を安定して提供することは、もはや製材業の常識である。 同社では、この生産能力を飛躍的に拡大。「お客様に信頼をもっていただく」ための取り組みとして、県北木材協同組合を組織し公正な立場から「性能の評価と表示」を行う。

・乾燥工程

 KD材の生産能力は、乾燥機の能力で決まる。同社では乾燥機を28基設置し、月産5400㎥体制を確立。同時に、当然求められる高い技術がある。

・かんな加工工程

 寸法精度も木材の重要な性能である。同社では、用途に応じた専用のモルダーを設置し、生産性と性能を追求している。

・性能測定と表示


 客観的なデータで商品の性能を表示している。これからの商品に当然求められるもの。(製材された木材は間違いなく商品であり、これは本当に必要な考え方である)

 ・商いの技

 顧客が要望する物、量をタイミングよく提供する。同社は、最重要課題の一つを「物流」と考えている。
具体的には、KD物流センターを設置し、品質の確かなKD材を豊富に在庫し、要望に迅速に対応できる体制を整えている。邸別配送も視野においた取り組みを積極的に進めている。
この部分が確立されると中間の業者が間に入ることがなくなり、必然的に原木の産地と生産者の顔が見える家造りが可能になる。

 ・豊富な在庫・流通

 適正な在庫を保有する。KD材は保管中の商品価値の低下(色あせなど)がなく、これを可能としている。
 商品は受注後、直ちに配送エリアから出荷される。西濃運輸と業務提携し、木材一本から全国へ発送できる体制を整えている。(建築現場によっては大型車が入れないところもあるが、現場にあわせた配送も可能)

・木を生かしきる技


 「切って植える。木材は再生可能な資源」 木材を極限まで使いきることは製材業の使命である。同社では、循環型社会の実現に向けても取り組んでいる。木材として使用できない端材を、年間約2万トン製紙原料としてリサイクルしている。
また、木材は天然材料であるため、中には虫食い、腐れ、曲がりなどがある。同社では、この欠点部分だけを取り除き、フィンガージョイントさせることで、製品歩留まりを向上させる取り組みも行っている。

 ・エネルギーリサイクル

 かんな工程で発生する「かんな屑」のみならず、以前は燃料への適応が不向きと考えられていたバークさえも乾燥機の熱源として燃料に利用している。これにより、化石燃料換算で月に1200万円以上のコストダウンを実現し、CO2の削減、バイオマスエネルギー利用により限りなくゼロミッションを達成している。
乾燥機の燃料として利用した後の木材の灰も、仏壇業者・お寺にお線香の灰として販売。

・製材工場の再生と雇用創出

 全国の製材業者は年間五〇〇社廃業に追い込まれている。同社はそれらの製材所を買い取り再生している。 なぜそのような方法をとるのか――新工場の設立よりも建設費用を抑えることができ、再生工場周辺の雇用創出と周辺林産業の活性化が図れるからである。



母船船団方式 

林産地の経営は厳しく、製材業も含めて近代化が著しく遅れているのが実情です。
製材業者の規模もそこで働く人の数は平均五~六人と少数で運営されています。

これでは近代化はもちろんのこと、住宅市場のさまざまな要求に応えることは不可能です。 昨今、乾燥材の必要性が叫ばれていますが、人工乾燥設備を導入するには莫大な設備投資が必要になるだけでなく、費用を掛けて乾燥させた材木を適切な価格で安定的に購入してくれる相手がいなければ成り立ちません。

家を造るためには、柱だけでなく梁、板材など多種多様な材木が必要になります。 小規模な製材所でこれらのすべての要望を満たすことは、生産性も悪く事実上不可能なのです。


そこで、木材産地の製材所が乾燥設備を備えた大規模な製材所を「母船」、その周囲の小規模な製材所をその製材目的にあわせ、柱を専門に製材する工場や梁材専門工場として、相互に連携していけるシステムを構築すれば、効率的な経営が可能になります。

また安定供給に不可欠な製材品の常備在庫施設とあわせて、この材木を安定して適正価格で売るための販路の確立・物流の整備まで一貫した流れを作り上げなければならなりません。 これができれば、国産材原木の安定供給が可能になり、間伐材、短尺材はもちろん、中目材の利用拡大にもつながり、森林の活性化に欠くことのできない近代的システムとなることができます。

 「日本の森林を守る」ためには、入り口である山林から始まり、出口となる住宅まで、一貫したものの見方が欠かせません。
その意味で、当社で取り組んでいる「母船船団方式」とあわせて、出口の住宅造りそのものの見直しこそ、日本の山を守り製材業、建築業者の事業を活性化するだけでなく、建て主の大切な住宅を資産として子孫に引き継いでいけるのだと考えています。